昨日の一冊は、
宮部みゆき『三鬼~三島屋変調百物語四之続~』(角川文庫)
卯の花

生身の人の語りは、
血が通っていて面白うございます。
ですが、生ものだけに、時にはあたる。
(中略)
でもですね、読み物というものは、
生身の人からはもう離れておりますから、
枯れております。
どう間違ってもあたりませんし、障りません。
気散じにはうってつけの上に、
読み物を通して知識が増えれば、
肝っ玉が強くなって、
語りにあたりにくくなりますから一石二鳥。
(「第四話 おくらさま」)

宮部みゆきの作家としての矜持でしょうか。