10月になったので、
幾つかの本の10月のページを開きました。

水上勉『土を喰う日々』(新潮文庫)
今月は果実酒の話でした。
文明の恩恵を受けることなく、
自然に息づいてきた昔の人は、
草と木がつくる実を『菓』と称し、
草木の実を楽しむ益を『薬』と称し、
『菓の薬』として果実酒をつくった。
(「十月の章」)

『春夏秋冬を楽しむ俳句歳時記』(成美堂出版)
赤い羽根つけらるる待つ息とめて  阿波野青畝

千人にまぎれぬ吾子(あこ)よ運動会  鶴岡加苗

さり気なく聞いて身にしむ話かな  富安風水

松茸の椀のつつつと動きけり  鈴木鷹夫
(「十月」)

夏生一暁『日々の歳時記』(PHP文庫)
十月にふるはしぐれと名をかへて  立花北枝

秋の灯や端居になれて草の色  石井露月
(10月1日 今日の季語」)