昨日の一冊は、
五木寛之『親鸞~激動篇~』(講談社文庫)

卯の花

これらの人びとは、
そなたたち世間の者たちの業を背負って、
病み、貧にあえぎ、苦しみを受けているのだぞ。
世の中でもっとも心やさしく、
汚れなき者たちが、
そなたたちの身代わりとして、
業を引き受けてくれているのだ。
これを代業という。
ここにいる皆の衆。
そなたたちは、
一度でも嘘をついたことはないのか?
殺生(せっしょう)をしたことはないのか?

神谷美恵子の詩を思い出す。
なぜ私たちでなくてあなたが?
あなたは代わってくださったのだ
代わって人としてのあらゆるものを奪われ
地獄の責苦(せめく)を悩みぬいて下さったのだ
(「らいの人に」神谷美恵子『人間をみつめて』みすず書房)