昨日の一冊は、
宮部みゆき『黒武御神火御殿~三島屋変調百物語六之続~』(毎日新聞出版)

卯の花

まったく、おちかは大しものだった。
自分にはおちかという手本がいるけれど、
おちかが聞き手を始めたときには、
その前には誰もおらず、
お勝さえもいない。
本当に一人きりだったのだ。
それを思ったら、
実にあの娘(こ)は立派だった。
かなわない。
(「第二話 姑の墓」)

年下の身内を、
こんなふうに敬い誇りに思うこと、
素直にすてきだなって思った。