五木寛之『親鸞』(講談社文庫)
「激動篇」(下)を読み終えました。
やっとのことで。

卯の花

親鸞が子どものころ、
比叡山で暮らしていたとき、
横川の宿坊に用事を言いつけられます。

迷い迷い、
なかなか辿りつけない、
日も暮れてくる。
足元は悪い。
やがて月のない夜道はもはや手探りで行くしかない。

体が震えて、
息が苦しくなる。
わたしは生まれてはじめて真の恐ろしさを感じた。
身動きもできず、
叫び声もでない。
いまにも深い断崖からまっ逆さまに落ちていくのではないかと思った。
思わず泣き出してしまったのだ。
(「山と水と空と」)

つづきはまたこんど。