泣き出した親鸞でしたが、
そうしているうちに、
空から白い光がさして、
あたりが明るくなります。
雲間から月があらわれたのです。
遠くに微かな灯火(あかり)も見えます。

月の光があたりを照らしたからといって、
背負っていた荷物が軽くなったわけではない。
遠くに横川の灯が見えたからといって、
そこまでの道のりが近くなったわけではない。
荷の重さもかわらない。
歩く道も近くはならない。
だが、
坐りこんでいたわたしはたちあがり、
歩きだすことができた。

この話をとおして、
親鸞が言いたかったことは、
またこんどのことに。