おはるはふと夜空を見上げた。
「五日だから名もなき月だけど、いい感じね」
三日月よりも太くなった月を見ておはるが言った。
(倉阪鬼一郎『晴や、開店』光文社時代小説文庫)

卯の花

この世のたいていの営みは「名もなき」営みだなあと思った。
でも、
そのうちのいくつかは「いい感じ」の営みのように思われる。