林エリカ『彼女は鏡の中を覗きこむ』(集英社)

卯の花

やっと読み終えました。

「ママ。」
いつから私は娘でなくなってしまったんだろう。
私はまだ20代のあの頃のような気持ちがするのに。
いつの間に私はこんなに年を取ってしまったんだろう。
「ママ、お願い。目をあけて。」
私が産んだ娘の声。
けれど定子は目を開けるのが恐ろしかった。
その娘にも女の子どもが生まれたのはいつのことだったかしら。
(「シー」)

本の帯に、
こんなことが書かれていました。
私たちは記憶のなかで
何度でも生まれ直す

そんな話でした。