二冊目は、
水上勉『土を喰う日々~わが精進十二ヵ月~』(新潮文庫)

卯の花

この食べ物を料理した人たちの苦労を思い、
その食をいただけるありがたさを、
先ず感謝せねばならなぬ。
それに、
この食物がいま、
自分の口にいたるまで、
いろいろな人の世話になり、
手数もかかっているのだから、
一粒の米も無駄にできぬ。
(中略)
この軀を保持するために、
よいクスリと思うて頂戴せよ。
(「十二月の章」より)

いのちを食べていのちをつないでいる。
その仲立ちをしてくれるのも、
いのちある人たちだ。

肝に銘じたつもりでもすぐ忘れてしまう。
忘れないように心がけ、
食のたびに思い出そう。

この本から引用するのも、
今日が最後です。

ひとつひとつ終わっていく、
一つ一つきりがついていく、
十二月はそういう月なんだなと思いました。
まさにまさしく極月です。