昨日の短編は、
朝倉かすみ「たんす、おべんと、クリスマス」

「よかったねえ」
娘が言った。
さまざまな思い出が、
ふと行き過ぎていくような声だった。

娘がカラカラ笑った。
青い空のいちばん高いところを目がけて放ったボールみたいな笑い声だった。

「そっかあ。ごめんね」
間があいた。
おもちさんの耳に無音が入ってくる。