昨年の11月、
訃報を耳にして買った本を、
昨日やっと読み終えました。

三木 卓『はるかな町』(集英社文庫)

卯の花

町はそんな不幸な老いた女を、
やさしくあつかっていた、と思う。
彼女が歩いていても、
だれもいじめもしなければ、
からかいもしなかった。
好奇の目でじっと見つめる者がいれば、
それはよその町からの新参者にちがいなかった。
(「おもどりさん」)

33ある短編の中で、
最も心に残った個所でした。