訃報を聞いて買った一冊。
西木正明『「幸福」行最終列車』(徳間文庫)

卯の花

幸福という地名には、
その文字面とは裏腹に、
なぜか悲しいふんいきがある。
(中略)
そこを本気になって訪れる人は、
幸福に見はなされた人だった。
(「『幸福』行最終列車」)

遠目にはわからないが、
こうして近くで見ると、
中沢の頭にはそうとう白いものが混じっている。
やはり時間はきちんと仕事をしている(後略)
(「偽りの唄」)

このごろ、
身の周りにも本の中にも、
せつないことが多い。