柳 美里『JR上野駅公園口』(河出文庫)を読み終える。

卯の花

毎年梅雨明けに羽化するニイニイゼミの初鳴きだった。
節子が死ぬ前に洗濯物を畳みながら、
「お父さん、わたしはなんだか蝉の鳴く頃に死ぬ気がするわ」
と言っていたのを思い出し、
両手と両膝をついて泣いた。

なぜかこの一節がいつまでも心に残りました。