重たい話を軽やかに読み進め、
爽やかに読み終えました。

寺地はるな『わたしたちに翼はいらない』(新潮社)

卯の花

これから先、お前を助けてくれる人間などいないと、
浜田先生は教えてくれたのだ。
「きみはひとりじゃない」なんて言われなくてよかった。
だってそんなの嘘だから。
誰かと仲良くなっても依存しないこと。
群れから外れても堂々としていること。
友だちがいないと恥ずかしいなんていう考えは捨てること。
倚りかかるとすれば椅子の背もたれだけと書いた詩人がいた。
二十代の頃には、
その詩を手帳に書き写して持ち歩いた。