山本文緒『アカペラ』(新潮文庫)読了。
卯の花

この三編の小説はどれも、
昭和の中頃に建てられた、
狭い和室に仏壇があるような、
そんな一戸建てが舞台となっている。
何代も続く立派な家ではなく、
そう遠くない将来、
取り壊しになる運命の安普請の家である。
私はそういう家で育った。
私にとっての実家がどんな雰囲気であったかを、
書いて残しておきたかったのかもしれない。
(「文庫版あとがき」)