昨日の朝日新聞「福島季評」
NPO「福島ダイアログ」の理事長、
安東量子さんが書いています。

「被災者になる」というのは、難儀だ。
いちいち自分の状況を説明するのが、難儀だ。
説明した後に同情を向けられるのが、難儀だ。
とはいっても、
無関心だったり、見当違いの反応を返されたりするのは、もっと難儀だ。
日々の起居に支援をしてもらわなくてはならないのが、難儀だ。
感謝はしている。
それでも、
何度となく、
「ありがとうございます」と言い続けるうちに、
心が少しずつ擦り減っていく気がする。
「被災者」のリアクションを期待されるのが、難儀だ。
でも、
「被災者」であることを伝えなければ、
もう大丈夫だと思われてしまうかもしれない。
だから、
「被災者」としての模範解答を返す。
「応援ありがとうございます」
「大変助けられています」
「がんばりますので、今後もどうぞお力添えをお願いします」

施しを受ける者は、
いつも、
施しをする者の隣に立たされる。
そして、
「ありがとう」を言わされる。