幸田文の文章は歯切れがいい。
おそらく生き方もそうだったのだろう。

『雀の手帖』(新潮文庫)を読み終えてそう思いました。

死は師である。
(「先生」)

私は先生の人嫌いは、
暖かさを底辺にした冷たさだと思った。
(「人ぎらい」)

私どもはあなたの平民をプラスと考えておりますが、
宮中におはいりになればマイナス勘定かとも思います。
(「美智子様へ」)