【啖呵】2020・7・21
2020年07月21日
《啖呵》
昨夜は熱帯夜でした。
寝苦しい深夜に、
昨日購入の文庫を読み終えました。
綿矢りさ『手のひらの京(みやこ)』(新潮文庫)
今夏の「新潮文庫の100冊」に入っています。
京都生まれ、
京都育ちの三姉妹の物語です。
谷崎潤一郎『細雪』の四姉妹、
川端康成『古都』の二人姉妹、
その中間の三姉妹という設定らしい。
次女の「羽依(うい)」が啖呵を切る場面があります。
それ、
私に向かって言うてんの。
私に向かって悪口言うてるんかと聞いとるんや!
どうなんやさ!
そうやんな、
まさかこんな近いところで私の悪口言うほどは根性ねじまがってないもんな。
言うとくけど、
私は前原さんと寝たりしてないし、
もちろん捨てられていないから。
いい加減なデマを社内で流したら、
パワハラや言うて訴えてやるからな!
いままでのお前の嫌みも、
全部持ち歩いてたICレコーダーに録(と)ってあるから、
法廷出たら覚悟せえよ!!
「明鏡 国語辞典」(大修館書店)
たんか【啖呵】喧嘩や口論の際に威勢よく言う歯切れのよいことば。
たんかをきる【啖呵を切る】威勢のいいことばでまくしたてる。
ああ、
啖呵の一つも切ってみたい。
「羽依」も言っています。
啖呵をきって気持ちいいのは、
直後の一瞬だけ。
正気に返ると忸怩(じくじ)たるものが残ります。
「明鏡 国語辞典」
じくじ【忸怩】反省して、深く恥じ入るさま。
でも、
ときとして、
パンパンパンっと、
小気味いい啖呵の一つも切ってみたい。