【浮遊感】2020・7・23
2020年07月23日
《浮遊感》
紙上歌壇を眺めて、
どういう歌に心が向くか?
それを考えてみると、
その時々の、
一種の浮遊感と関わりがあるような、
そんな気がします。
この世に漂う頼りない存在として、
あてどなく浮遊する人間として、
その日、
その時の、
倦怠感であったり、
高揚感であったり、
曰く言い難しの、
生きている浮遊感によって、
なんとなく心を重ねているのだろうと思います。
歌壇自体にも傾向があります。
この数か月は、
専(もっぱ)ら「コロナ」に関する歌が、
圧倒的に多く投稿されています。
でも、
私の思いは、
それに靡(なび)いたり、
あえて背を向けたり、
まさしく浮遊しています。
そういうわけで、
今朝の私の浮遊感が選んだ歌を・・・。
朝日歌壇
おねえちゃんハリー・ポッターよんでるとぜんぜんはなしをきいてくれない
(奈良市)やまぞえ そうすけ
読売歌壇
「もしかして短歌やってる福井さん?」初めて会った人に言われる 鳴門市 楠井花乃
「毎日が楽しいです」って書いている小学生のあたしに会いたい 堺市 一條智美
毎日歌壇
啄木の妻の生家の井戸のそばハンカチの木は小雨に泣きぬ 盛岡市 堀米公子
やわらかき「ばっかだなあ」がよく似合う朝の空なり夏がまた来る 垂水氏 岩元秀人
山陰文芸
日だまりで腰を下ろしたこの間 ひと月足らずで木陰が恋し 松江 柳浦洋司
同じ歌壇を再読したら、
その時はその時で、
また別の浮遊感で、
心を重ねるのだろうと思います。