《コロナ禍日記》
このごろ世間では、
「コロナ禍日記」というものが流行っているらしい。

正確に言うと、
「コロナ禍日記」を取りあげることが流行っているようだ。


私が知っているだけでも、
文芸誌では、
「新潮」6月号、
「文学界」7月号

単行本では、
『仕事本 私たちの緊急事態日記』(左右社)
『新型コロナウイルス人災記』(現代書館)


『仕事本 わたしたちの緊急事態日記』から、
いくつか紹介します。

 4/16
  小学校4年生ぐらいの女の子が、
  ごみを持ってきたのだが、
  僕を見てビビッてた。
  自分がマスクをして、
  シュノーケルメガネをして、
  ヘルメットを被っている、
  ダーク・ベイダーのような男になっているのを忘れていた。
                       (ごみ清掃員)  
  

 4/12
  仕事や生活が滞っている人たちがいて、
  みんなが不安抱えてんのに、
  ソーリは犬抱えてるしさあ。
  なんなんだよ。
     (ライブハウス店員)


4/14
  日本でも、
  感染が広がった頃から、
  演奏会やライブが真っ先に自粛対象となった。
  確かに、
  私たちが活動を止した所で誰も死なない。
  医療のように全ての人間が生活に必要とする職でもない。

  有事の際には、
  まず排除されて当然。
  大勢の人命を守る為には、
  それが正義。

  その“大勢“の中に勘定されない私たちは、
  お前たちの仕事は需要でも急ぎでもないことと、
  公で高らかに宣言されて、
  仮に誰かが生活に困ろうが、
  長々とした文章で、
  頑張ってねとだけ声明を出されて、
  おしまい。
  だって本当に、
  なくても社会は困らないから。
           (ピアノ講師)


 4/20
  外来をしている間に、
  I先生たちが他の科の病棟を回り、
  新型コロナウイルスに罹患した人の看護をしている看護師さんたちの気持ちを、
  聞いてきたらしい。
     (中略)
  同じ医療者の中で、
  不安を1人で抱えている人が、
  思いのほか多い。
  こんな状態が続いたら、
  間違いなく疲れすぎてしまう。  
            (精神科医)

仕事本 私たちの緊急事態日記