《不明》
昨夜、
あさのあつこ『もう一枝(いっし)あれかし』(文春文庫)
を読んでいて、
わが不明を恥じ入りました。

もう一枝(いっし)あれかし


不明その一
  「乙江を想うことで甚三郎は蕩けていく甘さと呻くような苦汁を交互に味わっていた」

    「蕩ける」の読み方を間違っていました。
    「ふやける」と読んでいました。
    でも、
    なんか違うなあと調べたら、
    「とろける」でした。
    確かに・・・。


不明その二
  「甚三郎さんのおかげで、ご相伴にあずかれます。口福が頂けますねえ」
    
    「口福」
    意味はわかりますが、
    この言葉、
    初めて知りました。

    『大辞林』には載っていました。
       おいしいものを食べて感じる満足感。

こんな奥ゆかしい言い方があるのだ!


不明その三
  「女の許に通い始めて、すでに周歳が経とうとしていた」
 
    これも『大辞林』
      まる一年。満一年。周年。

確かに、
「周年誌」から連想すれば、
意味は分かりますが、
こういう言い方があること、
知りませんでした。


我が身の不明を恥じることの多い読書となりました。