《ごほうび》
昨日の昼前、
マイナンバーカードの更新のため、
市役所に行きました。

このカード、
何かとわからないことが多く、
更新手続きも億劫で、
一日伸ばしにしていましたが、
いよいよ誕生日も近づき、
昨日、
やっと重い腰をあげました。

係りの方に、
それはそれは親切丁寧に対応していただき、
ときどき雨の降る蒸し暑い中、
汗でびっしょりになりながら、
歩いて行ったことへの、
すてきなごほうびをもらった感じでした。


いま読んでいるエッセイ、
吉本ばなな『下北沢について』(幻冬舎)に、
こんな箇所があります。

  あの恋が死んだ場所は、
  ちょうど茶沢通りのシェルターあたり。
 
  昼間もいつだって通っているのに、
  同じような夜中の時間に通るときだけ、
  あの夜のことをちょっと思い出して笑顔になる。

  あのときの私は、
  まさか自分がいつかこの街に住むなんて思っていなかった。

  子どもを連れて、
  いっしょにガリガリ君を食べながら、
  自分の家に向かって、
  そこを歩く日が来るなんて、
  全くありえないはずだった。

  あんなにも悲しくて、
  目の前が真っ暗で、
  タクシーの中でしくしく泣いて、
  運転手さんをびびらせ、
  遠い街まで帰っていいたひとりぼっちだったあの日の私に、
    そのあと結局あなたは別の人と結婚して、
    下北沢に住んで、
    この場所を子どもと歩くことになるんだよ。
  と言ってやりたい。

  なんてすてきなんだろう、
  人生は、
  なんていいものなんだろう。

これもまた、
ひとつのごほうびなのでしょう。 

そのときの自分はもらえなくても、
時間がたって、
気がついたらもらってた、
そんなごほうびもあるのです。


《昨日の宍道湖》

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