【ごほうび】2020・7・31
2020年07月31日
《ごほうび》
昨日の昼前、
マイナンバーカードの更新のため、
市役所に行きました。
このカード、
何かとわからないことが多く、
更新手続きも億劫で、
一日伸ばしにしていましたが、
いよいよ誕生日も近づき、
昨日、
やっと重い腰をあげました。
係りの方に、
それはそれは親切丁寧に対応していただき、
ときどき雨の降る蒸し暑い中、
汗でびっしょりになりながら、
歩いて行ったことへの、
すてきなごほうびをもらった感じでした。
いま読んでいるエッセイ、
吉本ばなな『下北沢について』(幻冬舎)に、
こんな箇所があります。
あの恋が死んだ場所は、
ちょうど茶沢通りのシェルターあたり。
昼間もいつだって通っているのに、
同じような夜中の時間に通るときだけ、
あの夜のことをちょっと思い出して笑顔になる。
あのときの私は、
まさか自分がいつかこの街に住むなんて思っていなかった。
子どもを連れて、
いっしょにガリガリ君を食べながら、
自分の家に向かって、
そこを歩く日が来るなんて、
全くありえないはずだった。
あんなにも悲しくて、
目の前が真っ暗で、
タクシーの中でしくしく泣いて、
運転手さんをびびらせ、
遠い街まで帰っていいたひとりぼっちだったあの日の私に、
そのあと結局あなたは別の人と結婚して、
下北沢に住んで、
この場所を子どもと歩くことになるんだよ。
と言ってやりたい。
なんてすてきなんだろう、
人生は、
なんていいものなんだろう。
これもまた、
ひとつのごほうびなのでしょう。
そのときの自分はもらえなくても、
時間がたって、
気がついたらもらってた、
そんなごほうびもあるのです。
《昨日の宍道湖》