《カミュ》
今日の朝日新聞、
「時代の栞」はカミュの『ペスト』でした。

こんな見出しでした。
  疫病と誠実に闘う人々

  不条理の象徴 時代ごとにヒント

それで、
以前、
「氷解」という題で書いたブログで、
次回は、
カミュの『異邦人』について、
書きますと約束していたことを思い出しました。

忘れていたわけではありませんが、
少し心の体力を必要としますので、
先延ばしにしていました。

ムルソーがアラブ人を殺した動機、
最初に読んだ高校生のころから、
ずっと疑問でした。

わかるようでわからない。
正直に言うと、
ずっとわからないままで、
ここまで生きてきました。

先週、
届けていただいた「波」(新潮社)8月号に、
内田樹さんが「カミュ論」第二回を載せています。


内田さんが書いているように、
最終弁論で、
ムルソーが殺人動機を、
「太陽のせいだ」と言ったことから、
多くの人が惑わされたように、
私もその例にもれず、
わけがわからなくなっていました。

今回の「カミュ論」で、
その疑問が氷解しました。

  彼が海岸でアラブ人を撃ったのは、
  彼の育ったアルジェの労働者街で、
  男たちを律している暴力の相称性についての「ルール」に従ったことの帰結である。
     (中略)
  彼らには彼らなりのモラルがある。
    男は母に背いてはならない。
    外では妻の体面を重んじなければならない。
    妊婦には思いやりを示さなければならない。
    一人の相手に二人でかかっていってはならない。
    それは「卑怯だ」からだ。
    これらの戒律を守らないものは「男」ではない。
     (中略) 
  アルジェの街の男たちを律する戒律は、
  わずか四条である。
  うち三つは女性への忠義と保護を命じ、
  最後の一つが「暴力における相称性」について定めている。
     (中略)
  そして、
  このルールに緊縛されて、
  ムルソーは殺人を選らばざるを得なくなるのである。


急に、
出かける用事ができましたので、
具体的な話は帰宅後ということにします。

波