《救われた》
昨日のことです。
暑い暑いと言いながら、
一気に『鈴木家の嘘』(ポプラ社)を読みました。

作者は野尻克己という映画監督。
映画『鈴木家の嘘』でデビューし、
近年は、
テレビドラマ『きのう何食べた』を監督したそうです。

本の帯から引用します。
  国内外で
  絶賛された
  傑作映画を
  監督自らが小説化

自殺(ところどころ「自死」と表現)がテーマです。
遺された家族に視点が当てられています。

これ映画で見たら、
笑うだろうな・・・と思われる箇所もあります。

でも、
深く深く考え込むことの多い小説でした。

今度、
FULUで映画を見たいと思いますが、
少し間を置きたい気持ちもあります。

一か所のみ引用します。

  幸男は近所にも浩一が死んだことを知らせていない。
  葬儀会社に相談すると、
  知らせる必要はありません、
  と即座に言われた。
  せめて、
  悠子と仲がいいお隣の橋口さんには知らせた方がいいのではないかと質問した。
    息子さんがどうしてお亡くなりになったのか、
    訳を絶対に聞かれます。
    それを説明するのは苦しくありませんか。
         (中略)
    世間は必ず偏見を持ちます。
    どうやってお亡くなりになったかなんて、
    説明なんて一切しなくていんですよ。
  と、葬儀会社は言った、
  その一言に幸男は救われた。

その是非は状況によるでしょうが、
遺族に寄り添った言葉と思いました。

幸男が救われたように、
私も救われました。

鈴木家の嘘