《私だけ》
新川和江が「名づけられた葉」という詩を書いています。

要約しながら引用します。

ポプラにはポプラの葉が芽吹く。
その小さな葉の一つ一つが、
「いっしんにひらひらさせても」
「名はみな同じ」で「ポプラの葉」と呼ばれる。

わたしも、
ポプラと同じように、
「いちまいの葉にすぎないけれど」
わたしは「わたしだけの名で」朝に夕に呼ばれる。
 
  だからわたし
  考えなければならない
  誰のまねでもない
  葉脈の走らせ方を
  刻みの入れ方を
  せいいっぱい緑をかがやかせて
  うつくしく散る法を
  名づけられた葉なのだから
  考えなければならない
  どんなに風がつよくとも
    (新川和江『新川和江文庫』花神社)


差別の後ろ姿を書いたので、
ふと、
この詩が浮かびました。