【おっくう】2020・9・13
2020年09月13日
《おっくう》
昔、
娘が通う高校に、
「おっくう」と呼ばれる先生がいた。
なんでも、
ことあるごとに、
「億劫、億劫」と言うのだそうだ。
どういう文脈で、
その言葉が発せられるのかわからないけど、
とにかく言うのだそうだ。
「億劫、億劫」と。
以前、
講演に行った小学校で、
「おっくう」に出会ったら、
「おっくう」は小学生の母になっていた。
久しぶりに言葉を交わしたけれど、
「おっくう」は、
「億劫」とは言わなかった。
それどころか、
私は、
彼女自身の口から、
「億劫」という語を耳にしたことは一度もない。
でも、
娘は今でも、
彼女のことを「おっくう」と呼ぶ。
ことあるごとに、
「億劫、億劫」という彼女のことを、
ことあるごとに、
「おっくうがねえ」
「おっくうはねえ」
と噂したものだ。
「おっくう」はどうしているのだろう?
私も時々、
「おっくう」のことを思いやる。
こんな朝から億劫な日には、
わけもなく「おっくう」を思い出す。
何をするのも億劫な今日のような日、
「おっくう」はどうしているんだろう?・・・と、
「おっくう」のことを思う。
「なんか億劫だなあ~」と、
ついつい「億劫」を口にする時、
ふわりと「おっくう」のことを思い出す。
いまごろ、
「おっくう」はどうしているんだろう?