《子どもの戯言》
国境なき医師団から、
機関誌が送られてきました。
「ACT!」2020年9月号。

子どもの戯言


医療コーディネーターとして、
15か国以上の国々で活躍する、
女性の小児科医の言葉が載っていました。

 

  6歳の頃には医者になろうと決めていました。
  当時日本に住んでいて、
  少し難しい病気を患ったことがきっかけでした。


この病気、
日本では珍しく専門医がいなかったけれど、
オランダ人の専門医が治してくれたそうです。

ヨーロッパにはよくある病気で、
「すぐ治るよ」
と言ってくれたそうです。

そのとき彼女は、
こう思ったと言います。
  国や場所によって、
  流行する病気は異なり、
  治せる病気と治せない病気があることに、
  その時とても興味を持ったのです。
  以後、
  気持ちが揺らぐことはありませんでした。


6歳の子どもがこんなことを思うことも驚きでしたが、
6歳で志した道をずっとブレずに持ち続け、
実際に医者になってしまう。
こういう人もあるのです。


スイスの哲学者ヒルティを思い出します。
  若いころの夢を軽んじてはならない。
  それは、
  その人の本質から発せられたものだからだ。
うろ覚えですが、
だいたいこんなことを言っていました。
  
その後の人生で、
選んだ職種は変わることがあっても、
子どものころに抱いた夢と、
大きく逸(そ)れてしまうことはないのだ。
・・・ということを言っているように思います。


子どもの言ってることは、
毎日めまぐるしく変わり、
大人には、
「子どもの戯言(たわごと)」と取られそうですが、
それでも、
決して、
子どもは戯言を言っているわけではないと思います。

「子どもの戯言」と、
「子どもの戯言」を軽んじない方がいい。
私はいつもそう思います。