《昨日》
昨日、
fuluで観た映画『氷菓』

大人の男が、
幼稚園児の姪に、
こんなことを言います。
  いいか、
  強くなるんだ。
  強くなって悲鳴を上げるんだ。
  悲鳴を上げなかったら、
  生きたまま死んでしまうことになる。
  俺のように・・・。

  俺は、
  このまま、
  死にながら生きたくはない。


強くなければ悲鳴を上げられない。
世の中には、
そんな強さがないために、
悲鳴も上げられない人がいるのだ。

逆説めいているけど、
確かにそうだなあと思いました。

 

昨日、
横になってから読んだ本。
加藤 元『十号室』(光文社)
二日で読み終えました。

こんな夫婦の会話があります。

  でも、
  くよくよしたり、
  うらみごとを抱えて生きていくより、
  忘れた方がいいって、
  岡本さんは言うの。
  森下さんは、
  ペットでも飼った方が寂しさがまぎれたんじゃないかってね。

  傲慢だな。

  え?

  忘れられないことも、
  忘れてはならないことも、
  たくさんあるじゃないか。

夫婦の会話を聞きながら、
娘が幼い我が子を見下ろしながら、
心のうちで思います。
  この子がもし、
  たかしくんのように、
  永久にいなくなってしまったら。
  想像しただけで、
  胸が絞られるように痛くなる。

  ペットでも飼え?

  岡本さんも、
  ずいぶん無神経じゃないの。
  自分にだって息子がいるのに、
  どうしてそれがわからないんだろう。

孫の髪を撫でながら、
祖母が言います。
「そうだわねえ」

祖父が誰にともなく言います。
「忘れられない苦しみに対して、忘れろというのは、他者の傲慢だ」

 

昨日の雨上がり。

昨日の雨上がり

昨日の雨上がり

昨日の雨上がり

昨日の雨上がり