《生まれけり》
昨日からずっと、
まとまった時間があると、
原田マハ『独立記念日』(PHP文芸文庫)を読んでいます。

独立記念日

 


短編集です。
今、
24編中7編まで読みました。

 

「真冬の花束」の中に、
武者小路実篤の詩が出てきます。

中学時代、
机の上に、
小菊の花の花瓶と線香立て。
一本だけの線香から煙。
そんな嫌がらせを受けていた「私」は、
今、
中学校の国語の教師。

ここでもまた、
「真紀」を標的にした嫌がらせが起きています。

自分が辛い時、
助けてくれた国語の先生がいて、
その先生が、
付箋をつけた『武者小路実篤詩集』をくれます。

付箋のページにあった詩、
  生まれけり 死ぬる迄(まで)は 生くる也(なり)

「私」はこの詩で救われます。
  事実、
  私は恩師に助けられ、
  一篇の詩に支えられて、
  なんとか乗り越えた。

 

「私」は、
「真紀」にも、
同じ詩を渡しますが、
「私」の思いはうまく伝わらず、
  その日の夜、
  真紀は自室で手首を切った。
    生まれた。
    だから、
    死ぬ。
  現国のノートに、
  そう一行だけ残して。

その後もいろいろありますが、
命を取り留めた「真紀」から、
こんなメールが届いて、
「伝わったのだ」と実感します。
  なんでかな、
  あたし生まれてきちゃった。
  でも生きていくかな。
  とりあえず死ぬまでは。


今日は、
今年度二回目の講演、
武者小路実篤ではなく、
八木重吉の詩で物語ります。