【雨読】20・9・26
2020年09月26日
《雨読》
このごろ、
どちらかというと雨模様です。
一昨日は午前中と夜、
昨日は午前中、
今朝は降っているようないないような・・・。
最近、
晴耕はないので、
単なる雨読です。
雨読で読み終えた一冊、
原田マハ『独立記念日』(PHP文芸文庫)
いいなあと思った箇所を紹介します。
どうして彼を好きになったかって?
それは、
世の中の女子の大半がそうであるように、
とてもささやかな理由。
くだらない、
って笑われてしまうかもしれない。
けれど私は、
彼が、
いつも歩道のひなた側を歩いていくのが気に入っていた。
気になってたんだ。
さっき歩いてた歩道、
陰になってたでしょ。
ひなたの道を歩かなくっちゃ、
なんだか人生もったいない。
そう笑ってから、
行こう、と手を指し出して、
ごく自然に、
冷たくなった私の手を握ったのだ。
(「ひなたを歩こう」より)
清掃道具を足もとに置いて、
両手を前に組み、
壁に背をもたれたりせず、
きちんと立っていた。
(「缶椿」より)
幸せすぎて、
ちょっとヘン。
そういう状態のことを、
「多幸症(たこうしょう)」って言うらしい。
(「甘い生活」より)
オトコってのはな。
あったかいハートがあればいんだ。
ずうっとまえに、
そう忠告してくれた父の言葉を思い出す。
翌朝、
朝食のテーブルで、
私の顔を見るなり、
お父さんが言った。
衣里(えり)。
オトコを顔で選んだら、
そのうちイタいめにあうぞ。
「飛んでいく先を選ぶもんだな、青い鳥っていうのは」
その夜、
父が私にそう言った。
(「幸せの青くもない鳥」より)
一生けんめい生きている人こそが、
自分に寄り添うべき人である。
幸せの青くもない鳥は、
そうわかっているのです。
そんなふうに言ってくれた。
お宅を辞して、
空を見上げた。
夕焼けに、
ほっと息を放つ。
その瞬間に、
涙がこぼれた。
私の胸はときめいた。
自由、になるんじゃない。
独立、するんだ。
ややこしい、いろんな悩みや苦しみから。
(「独立記念日」より)
裏表紙の言葉そのままの一冊でした。
寄り道したり、
つまずいたりしながらも、
独立していく女性たちの姿を、
鮮やかに描いた、
24の心温まる短編集。
本の帯の言葉どおりの一冊でした。
昨日までの私に
サヨナラできる一冊