《倫敦の焼き芋》
朝まだきのラジオから、
正岡子規の手紙が朗読されました。

正確ではありませんが、
おおよそ、
こんな内容でした。 

  僕はもう駄目になってしまった。
  毎日号泣して暮らしているようなものだ。
  以前、
  君が送ってくれた手紙は、
  実に愉快だった。

  僕が西洋に行きたがっていたことを、
  君はよく知っているだろう。
  でも、
  病気になって行けそうにない。

  君が倫敦から送ってくれる手紙を読むと、
  まるで西洋に行ったような気になる。

  僕の目が開(あ)いているうちに、
  もう一便、
  手紙を送ってくれないか。

  倫敦の焼き芋は、
  どんな味がするのだろう。

ラジオだから、
分からないけれど、
「ロンドン」は、
「ロンドン」ではなく、
「倫敦」だったろうと思います。

病床の正岡子規が、
倫敦の夏目漱石に宛てた手紙です。

聴いていて、
あまりにせつなくて、
涙がにじみました。