たいした大人】20・9・29
2020年09月29日
《たいした大人》
昨夜の読書、
朝比奈あすか『君たちは今が世界(すべて)』(角川書店)
少し気になる箇所がいくつかありました。
わたしがこの子どもたちと同じ歳だった頃、
担任の先生が言った。
・・・皆さんは、どうせ、たいした大人にはなれない。
わたしたちは、たしかに悪かった。
だけど、
皆いっしょくたにされて、
「たいした大人にはなれない」
と言われるほどだっただろうか。
ところが、
人間というのは緩やかに変化をしてくるもので、
十年が経ち、
当時の先生の年齢を超えた今、
少しずつ、
わたしの中に違う考えが芽生えてきたのである。
・・・皆さんは、どうせ、たいした大人にはなれない。
あの時のあれは、
彼女なりに思いを持ってぶつけた、
真摯な言葉だったのかもしれない、
とさえ思うようになったのだ。
わたしの母から花束を受け取った彼のお母さんは、
この子、本番がだめなの。
気が弱いから。
練習では弾けたんだけど・・・
と、しきりに言った。
彼の前で、
彼のピアノの腕ではなく、
精神面を貶(けな)した。
私が教えた生徒たちは、
「たいした大人」になれただろうか?
彼らを教えた私は、
「たいした大人」だったのだろうか?
そして今、
「たいした大人」であると言えるだろうか?