《時を経て》
先日、
ある中学校の先生に紹介された絵本、
少し時を経ましたが、
昨日、
古本屋さんで見つけて買いました。

『エリカ~奇跡のいのち~』(講談社)
  ルース・バンダー・ジー/文
  ロベルト・インノチェンティ/絵
  柳田邦男/訳

エリカ~奇跡のいのち~

私が心に留めた一文を、
柳田邦男さんも、
「訳者のことば」で引用していました。

 

  お母さまは、
  じぶんは「死」にむかいながら、
  わたしを「生」にむかってなげたのです。


この先生の中学校では、
この「絵本」を教材にして、
道徳の授業をしたそうです。
どんなふうに扱われたのだろう?
私には、
この絵本を教えることも、
この絵本で教えることも、
ちょっとできそうもありません。

現場に生きる先生って、
すごいなって思いました。


一緒に買った本。
『あのころはフリードリヒがいた』(岩波少年文庫)
  ハンス・ペーター・リヒター/作
  上田真而子/訳

あのころはフリードリヒがいた

 

何か月も前、
ラジオで朗読されていました。

 

ずいぶんと時を経てから手にしたことになります。

「訳者あとがき」の冒頭を引用します。
まだ読み終えてはいませんが、
同じ思いだからです。

  二年ばかり前、
  ドイツの町をあちこち訪ねる機会にめぐまれたとき、
  わたくしは、
  大きい本屋があるごとに、
  いい本はないか、
  尋ねてまわりました。
  そしてある本屋で、
  まだ二十(はたち)くらいの若い女店員にすすめられたのが、
  この本です。

  宿に帰って、
  わたくしは息もつかずにおわりまで読みました。
  といっても、
  途中で、
  読み続けるのが辛くてたまらなかったのも事実です。
  でも、
  先を読まずにはいられませんでした。
  
  こんど訳しながら、
  同じことがわたくしに起こりました。
  訳すためには一生けんめい読むので、
  それはなおさらでした。

  これを書いたときの著者の気持ちが、
  やはりそうだっただろうと思います。
  しかも、
  辛さも、
  それでいて書かずにはいられない気持ちも、
  比較にならない強さだったことでしょう。

何度も読みさしながら、
何度もくじけながら、
何度も立ち止まりながら、
それでも、
少しずつ、
少しずつ、
読み進めています。

ビクトール・フランクルのことばに勇気をもらいながら・・・。
  あなたが人生に絶望しても、
  人生はあなたに期待することをやめない。