【時を経て】20・9・30
2020年09月30日
《時を経て》
先日、
ある中学校の先生に紹介された絵本、
少し時を経ましたが、
昨日、
古本屋さんで見つけて買いました。
『エリカ~奇跡のいのち~』(講談社)
ルース・バンダー・ジー/文
ロベルト・インノチェンティ/絵
柳田邦男/訳
私が心に留めた一文を、
柳田邦男さんも、
「訳者のことば」で引用していました。
お母さまは、
じぶんは「死」にむかいながら、
わたしを「生」にむかってなげたのです。
この先生の中学校では、
この「絵本」を教材にして、
道徳の授業をしたそうです。
どんなふうに扱われたのだろう?
私には、
この絵本を教えることも、
この絵本で教えることも、
ちょっとできそうもありません。
現場に生きる先生って、
すごいなって思いました。
一緒に買った本。
『あのころはフリードリヒがいた』(岩波少年文庫)
ハンス・ペーター・リヒター/作
上田真而子/訳
何か月も前、
ラジオで朗読されていました。
ずいぶんと時を経てから手にしたことになります。
「訳者あとがき」の冒頭を引用します。
まだ読み終えてはいませんが、
同じ思いだからです。
二年ばかり前、
ドイツの町をあちこち訪ねる機会にめぐまれたとき、
わたくしは、
大きい本屋があるごとに、
いい本はないか、
尋ねてまわりました。
そしてある本屋で、
まだ二十(はたち)くらいの若い女店員にすすめられたのが、
この本です。
宿に帰って、
わたくしは息もつかずにおわりまで読みました。
といっても、
途中で、
読み続けるのが辛くてたまらなかったのも事実です。
でも、
先を読まずにはいられませんでした。
こんど訳しながら、
同じことがわたくしに起こりました。
訳すためには一生けんめい読むので、
それはなおさらでした。
これを書いたときの著者の気持ちが、
やはりそうだっただろうと思います。
しかも、
辛さも、
それでいて書かずにはいられない気持ちも、
比較にならない強さだったことでしょう。
何度も読みさしながら、
何度もくじけながら、
何度も立ち止まりながら、
それでも、
少しずつ、
少しずつ、
読み進めています。
ビクトール・フランクルのことばに勇気をもらいながら・・・。
あなたが人生に絶望しても、
人生はあなたに期待することをやめない。