《夜の匂い》
昨夜、
夜道を歩いていたら、
どこからか、
なつかしい匂いがします。

なんだろう?
なかなか思いだせなくて、
なんだろう?
なんだろう?
と思って歩いていたら、
ずいぶん歩いてから、
もう匂いがしなくなってから、
ふっと気づきました。
金木犀の匂いでした。

生まれ育った家の庭に、
大きな金木犀の木があって、
だから、
そこはとなく懐かしかったのです。

久しぶりに、
『カラー図説 日本大歳時記』(講談社)
  木犀の香をたしかめんとする息する  篠原 梵

昨夜の月


昨夜の『刑事7人』の最終回、
こんなセリフがあって、
  絶望や後悔、
  それを抱えて、
  僕らは生きるしかないんです。
夜の匂いがした。


昨夜の月が、
あんまり明るかったので。
庭先に立つと、
夜の匂いがした。