《目頭が熱くなる》

なんだかとっても、

あったかい時代小説が読みたくなって、

ちょっと買い物に出かけたときに買いました。

西條奈加『銀杏(ぎんなん)ならい』(祥伝社)

西條奈加

いい話でした。

じんわりしたり、

ふんわりしたり・・・。

巻末に、

吉田伸子さんが解説を書いています。

一部を引用します。

  『椎塾』に通う彼らは、

  今で言うなら、

  「学習障害」を抱えていると思(おぼ)しき子たちだ。

  けれど、

  椎葉はそんなレッテル貼りはしない。

    ここに来る者たちは皆、

    子供ながらに心に傷を負っている。

    手習所という最初に出会った世間から弾(はじ)かれて、

    己には値がないの印を押された。

    どんなことでもいい、

    大人からすれば無益に見える事柄でも構わない。

    己にも得手(えて)がある、

    できることがあると気づかせてやるのが何よりの一義。

    たとえ人並みには及ばずとも、

    己を信ずることさえできれば、

    この先も生きていけよう。

    椎塾は、

    そのためにあると・・・

  この椎葉の言葉には、

  思わず目頭(めがしら)が熱くなる。

  レッテルを貼るのではなく、

  個性を生かすこと。

  その個性を拠(よ)り所として、

  自分を信じることこそが、

  この先、

  彼らの人生を支えることであろうこと。

私が関わる子どもたちを思って、

ある感慨がありました。

目頭が熱くなるような感慨が・・・。