【うろおぼえ索引】2020・10・12
2020年10月12日
《うろおぼえ索引》
少し前に紹介した『教科書でおぼえた名詩』(ネスコ)には、
「うろおぼえ索引」という便利なものが巻末に付いています。
今回は、
うろおぼえの和歌を、
その索引に助けてもらって、
いくつか思い出そうと思います。
この索引、
初句だけでなく、
よく口ずさまれる途中の句でも探せます。
たとえば、
「いわばしる・・・」でも、
「・・・もえいずる」でも、
177ページに、
早春といえば口をついて出る、
あの歌が見つかります。
石(いわ)ばしる垂水(たるみ)の上のさわらびの萌えいずる春になりにけるかも 志貴皇子(しきのみこ)
そんなふうに、
うろ覚えながらも頭の片隅やら、
心の奥底に残っている和歌を、
万葉集から少々。
春過ぎて夏来(きた)るらし白妙(しろたえ)の衣ほしたり天の香具山 持統天皇
東(ひんがし)の野にかぎろひの立つ見えてかへり見すれば月傾ぶきぬ 柿本人麻呂
田児の浦ゆ うち出て見れば真白にぞ不尽(ふじ)の高嶺に雪はふりける 山部赤人
吾妹子(わぎもこ)が植ゑし梅の木見るごとに心むせつつ涙し流る 大伴旅人
防人に行くは誰かと問ふ人を見るが羨(とも)しさ物思(ものも)ひもせず 防人歌
中学校や高校で習った先生や、
高校で教えた日々を思い出して、
切ないような、
息苦しいような、
そんな気持ちになります。
不思議なことですが、
夜汽車の窓から、
遠い家の灯りを見つけたような、
ほのかな温もりと懐かしさも、
ぽっぽっぽと湧いてきます。