【蔵書印】2020・10・14
2020年10月14日
《蔵書印》
古本屋さんで井出孫六を見つけました。
『その時この人がいた』井出孫六(毎日新聞社)
買って帰って、
ペラペラとめくっていたら、
巻末に「安藤」という蔵書印がありました。
62.2.24に丸三書店で購入したとあります。
本の発行が昭和62年2月10日ですので、
「62」は「1962年」ではなく「昭和62年」です。
でも、
本には一か所の傍線も折り目もなく、
きれいな読み方だなあと思いました。
それに引き換え、
私の読書は極めて汚い読み方です。
今日の夕方に読み終えた時代小説、
梶ようこ『五弁の秋花~みとや・お瑛仕入帖~』(新潮社)
いつものように、
赤ボールペンの傍線がいたるところにあります。
その中から少しだけ引用します。
兄さんは行ってくるよとは決していわない。
お父っつぁんとおっ母さんが、
「行ってくるよ」といって、
橋の崩落で死んだからだ。
帰らないのに、
行ってきますは、
待つ者にとって辛過ぎる・
生きていくには、
食べること、
食べるためには働くことだと、
十一のときに知った。
頑張らなくてもいいし、
忘れなくてもいい。
悲しみだって無理に乗り越えることなんかない。
悪いことが起きると、
世の中で自分が一番だと思えてくる。
先週、出会った人は、
自分の辛さを吐き出したあと、
こういうとき、
誰もがそう思うでしょうけど、
なんで私なんでしょうねえ?
そう言って黙り込んだ姿が、
この一行で思い出されました。