《いちばん》

昨日の朝日歌壇で、

いちばん心が痛んだ歌。

  どれくらい呼んだのだろう帰らない母を幼い姉妹ふたりは (丸亀市)金倉かおる

あの事件、

あれほど大きく報道されたから、

何度も何度も報道されたから、

時が経っても報道され続けたから、

鮮明に心に残っているけれど、

この感性で、

この表現をされると、

心が痛くてなりません。

「ういらか」でいうなら、

「い」のうた。

「いたし」の歌。

 

昨日の朝日歌壇で、

いちばん心が温もった歌、

  時間割り表より長く見ておりぬ明日の給食献立表を (奈良市)山添聖子

「ういらか」でいうなら、

「う」のうた。

「うつくし」の歌。

 

大庭みな子『枕草子』(講談社)から。

  うつくしきもの(かわいらしいもの)

  にわとりのひながまだ白っぽく、

  毛も生えそろわず、

  足ばかり長く見えるのが、

  ぴよぴよ鳴きながら人についてまわる姿。

  また親どりにつれられて、

  走るようについてまわる姿。

枕草子