《西條奈加》

ふらっと立ち寄った本屋さんで、

西條奈加という作家を見つけました。

今まで知らなかった作家です。

『睦月童(むつきわらし)』の「解説」で、

松井ゆかりさんが書いています。

時代小説初心者がどの作品を選べばいいのか、

迷うのは当然だが、

  そんなときはぜひ、

  西條奈加作品を手に取られることをおすすめしたい。

  「時代もの 迷ったときは 西條奈加」

  時代小説コーナーで、

  呪文のように唱えていただければ幸甚である。

そういう人であるらしい。

少し引用します。

  それにしても、驚いたわ。

  ほんの一年で、

  すっかり中居らしい立ち居振る舞が板について。

  客あしらいや細かな目配りも、

  まったく見事なものだわ。

    女将さんから手ほどきを受けて、

    後はお客さまに育てていただきました。

         (西條奈加『鱗や繁盛記』新潮文庫)

教育も子育ても同じだろうなと思いました。

先人から手ほどきを受けて、

それから先は、

目の前の子どもや生徒に育ててもらう。

そういうことってあるなあと、

自分の来し方を振り返って思います。

 

  御法とは、人が人であるための、証しのようなものだ。

    人の、証し・・・

  さよう、ここを踏み越えては人でなく獣(けだもの)だと、示された線だ。

  越えれば、あたりまの暮らしなぞできようはずもない。

                 (西條奈加『睦月童』PHP文芸文庫)

確かにそういうものだろうなと思います。

人生には、

いろんな意味で「境界」があるものだろうと思います。

それを踏み越えたら、

人は知らなくても自分の中の「御法」が自分を裁き、

「後悔」や「罪の意識」は、

いつまでもいつまでも澱(おり)のように残ります。 

御法