《蚕さん》

毎朝、青汁を飲んで、

飲むたびに思います。

あ、蚕さんの匂いだ!・・・と。

でも、本当は桑の葉の匂いだと思います・

 

子どものころ、

我が家は蚕さんを飼っていました。

一年のある時期、

二階は私が寝る部屋以外は蚕さんの部屋でした。

夜中に目覚めると、

蚕さんが一斉に桑の葉を食べる音がしていました。

耳を澄まさなくても聞こえる音でした。

音は不気味でも、

蚕の食欲は頼もしくもありました。

でも、

やがて体が黄色く透き通ってくると、

繭を作り始め、

繭が完成すると、

羽化を待たずに煮られてしまいます。

長く一緒に過ごした蚕さんです。

残酷の感を禁じ得ないときです。

干した繭を集荷所に持って行くのが子どもの仕事でした。

総じて、

養蚕は切なくて、

蚕さんは愛おしい存在でした。