《明後日から11月》

それで思い出しました。

昨日、紹介した金子成人『ごんげん長屋つれづれ帖』(双葉文書)に、

こういう個所がありました。

  月が替わって十一月になった昨日から、

  二日続けて雨に降られた。

  今日の雨は、いつ雪に変わるかも知れないような、氷雨である。

  お勝はこの朝、お琴にも、手跡指南所に通う幸助とお妙にも足袋を履かせた。

  足袋を揃(そろ)えられない家ならともかく、

  足が冷たかろうが、

  躾(しつけ)と称して、

  子供に我慢を強いる商家があると聞くが、

  お勝にすれば、それはただの虐(いじ)めだ。

我が意を得たりとはこのことかなと思います。

 

昔、

ひどく暑い6月に、

教室に冷房を・・・とお願いしたら、

「まだ6月だぞ、このぐらいの暑さは我慢させろ!」

と叱られたことがありました。

そのとき、

年配の先生が、

  6月だろうが、7月だろうが、暑いときは暑い。

  暑いときは暑いように、

  寒いときは寒いように対処して何が悪い!

と援護発言をしてくださいました。

 

このぐらのことで泣くな!・・・とか、

こんなことで弱音を吐くな!・・・とか、

そういうことを言う人もいますが、

私はこうした物言いには反対です。

辛いときは辛いように、

悲しいときは悲しいように、

嬉しいときは嬉しいように、

楽しいときは楽しいように、

そういうのが人間として、

まっとうな在り方と私は思います。

 ごんげん長屋