【告白】2020・11・8
2020年11月08日
寝床の中で、
youtubeから流れる「NHKラジオ文芸館」を聞きました。
昨夜は浅田次郎の『告白』でした。
高校生のアズサは父親のことを「アイツ」と呼びます。
それを親友のナミが、
「おやじのこと、アイツって呼ぶの、やめなよ」と、
たしなめます。
ここからアズサの告白が始まります。
告白その1「だって本当のおとうさんじゃないもの」
告白その2「お父さんから毎月おこづかい振り込まれてるの」
小学1年のときは1000円、
小学2年には2000円、
そんなふうに学年が上がるごとに1000円ずつ増えていきます。
高校生の今は毎月9000円、
総額が70万円にもなっています。
告白その3「もうやめなよ。わかってんだから。自分のコートでも買いなよ」
雪の日、
迎えに来たアイツに、そう言います。
それが告白その3でした。
アイツが本当のおとうさんの名前で振り込んでくれていることを、
アズサはもうずいぶん前から気付いていました。
チェーンをかけるのがめんどくさいからと、
歩いて迎えに来たアイツの背中におぶさって、
この日最大の勇気を振り絞って、
アズサがアイツのことを初めて「おとうさん」と呼びます。
それが告白その4。
聞き終わって、
高校生の女の子が、
母親の再婚相手の背中におんぶされて、
降りしきる雪の中を家路に向かう・・・、
その姿が何かしら得難い風景として、
いつまでもいつまでも残りました。