昨日、
石巻から電話があり、
このところ留守電を聞くことが多いのですが、
昨日は珍しく話しました。
  このごろ寒くなって、
  みんな急いでけらしてさ、
  店に入る人減ったのよ。

東北だものなあ~、
寒さが違うのだろうなって、
思い思いしながら聞きました。

 

そんな昨日、
古本屋さんで買った絵本は50円でした。
『馬ぬすびと』(福音館書店)
作:平塚武二
画:太田大八

馬どろぼう

平塚さん、
存命なら116歳、
太田さん、
存命なら102歳。

初版は52年前の1968年、
購入した本は2017年発行の第43刷でした。

一か所のみ引用します。
  世わたりの人のくらしが、
  人らしい人のくらしに役立たぬとすれば、
  世わたりの人のくらし方に、
  まちがいがあるのではないか・・・
  こんな考えがうかぶとき、
  ふっと、
  おれの目のそこに、
  あの岩手山と、
  すそ野の原が、
  くっきりと見えてくることがある。
  ああ、
  じっとうごかぬ山・・・。
  おれの心のおくそこには、
  岩手山が立っているのだ・・・。
  そう思うことだけが、
  おれの、
  たったひとつのなぐさめだった。
  もし、
  このなぐさめがなかったら、
  おれは、
  もっと恥しらずの馬ぬすびとになっただろう。
  ぬすむことだけに生きる、
  ならず者になっただろう。

九郎次に岩手山という人のくらしのめあてがあったように、
人は誰しもまっとうに生きるためのめあてを心の奥深くに持っているのです。
そうでなくて、
どうして人が人らしく生きてゆけるだろう。