【あっち側】2020・11・23
2020年11月23日
けさ読み終えた原田マハ『生きるぼくら』(徳間文庫)
こんな個所があって強く濃く傍線を引きました。
それは、
最近まったく耳にしていなかった「あっち側」の世界に住む人間の言葉のように聞こえた。
「あっち側」とは、「いじめる側」だ。
言い換えれば、「勝ち組」だ。
そこに属する人間は、
いつも高飛車で、他人に容赦がなく、
自分のひと言で誰かが傷ついたり、
ときには再起不能なほど追い詰められたりすることを、
想像することができない。
人への思いやりなどというものをかけらも持っていないのに、
合理的に、計算高く生き延びる。
ずる賢く、打たれ強い。
そして、根拠はなくとも、
いつも何かに対して勝ち誇って生きているのだ。
子供の世界ばかりでなく、
いまや大人の世界にもはびこっているいじめが露呈しにくいのは、
「あっち側」の人間がそれを周到にしかけているからだ。
彼らは計算高いので、
自分の点数が減点されるようなやり方ではしかけない。
家族にも学校にも会社にも、
絶対にわからないようなやり方で、
誰かを傷つけ、追い詰める・
それでいて、
罪悪感など微塵も持たないのだ。
自分の来し方を振り返っても、
今まで関わった小学生・中学生・高校生の顔を思い浮かべても、
ときには大人の世界で生きづらい人に思いを馳せても、
確かに確かにと納得する。