この本も新聞広告に惹(ひ)かれて読みました。
  残酷でありながら慈愛に満ちた、
  小川さんならではの物語。
小川 糸『とわの庭』(新潮社)
とわ
恣意的に切り取った三つの「ものがたり」を紹介します。
今夜は「スズちゃんのものがたり」
  わたしが感情を乱すたび、
  ひとりの女性が、
  力ずくでわたしを抱擁し、
  何も言わず、
  ただ背中を撫でてくれた。
  彼女はわたしにつきっきりで、
  それこそ夜寝る時も、
  となりの布団で寝てくれた。
  そういうことの、
  繰り返しだった。
  わたしは少しずつ、
  その人にだけは心を許した。

残酷でありながら残酷だった物語の中で、
わたしが見つけた「残酷でありながら慈愛に満ちた」ものがたりの一つです。