【残酷でありながら】2020・12・10
2020年12月10日
この本も新聞広告に惹(ひ)かれて読みました。
残酷でありながら慈愛に満ちた、
小川さんならではの物語。
小川 糸『とわの庭』(新潮社)
恣意的に切り取った三つの「ものがたり」を紹介します。
今夜は「スズちゃんのものがたり」
わたしが感情を乱すたび、
ひとりの女性が、
力ずくでわたしを抱擁し、
何も言わず、
ただ背中を撫でてくれた。
彼女はわたしにつきっきりで、
それこそ夜寝る時も、
となりの布団で寝てくれた。
そういうことの、
繰り返しだった。
わたしは少しずつ、
その人にだけは心を許した。
残酷でありながら残酷だった物語の中で、
わたしが見つけた「残酷でありながら慈愛に満ちた」ものがたりの一つです。