【続・残酷でありながら】2020・12・11
2020年12月11日
小川糸『とわの庭』(新潮社)
今日は「マリさんのものがたり」をしたいと思います。
だからわたし、もっと前から気づいてたんです。
あそこに、女の子がいる、って。
そのことを、どうしてもあなたに謝りたくて。
本当にごめんなさい。
あの時、あなたが苦しんでいたのに、
わたし、わかってて何もしなかったの。
事件のことを知って、
すぐにあの家の女の子のことだ、って気づきました。
昔、『ムッちゃんの詩』という映画がありました。
米倉斉加年がこんなセリフを言う場面があります。
おまえたちはみんな知っていたんだ。
あの洞窟に女の子が一人でいるのを。
知っていて何もしなかった。
おまえたちがあの子を殺したも同然だ。
そして、
自分自身の来し方を重ねました。
「わかってて何もしなかった」ことのある私の来し方を。