本の本、
前回は「ちくま」でしたが、
今回は「波」です。
ハリネズミ

あさのあつこ『ハリネズミは月を見上げる』(新潮社)の、
刊行記念企画として、
埼玉県立浦和第一女子高校の生徒に、
著者もタイトルも伏せて、
予備知識のない状態でこの本を読んでもらい、
読後の感想を書いてもらったそうです。
この小説の登場人物と同世代の高校生が、
どんな反応を示すか知りたくて・・・。

その「反応」の一部が載っています。
  悩みながらも必死に前に進もうとする彼女たちの姿は、
  かっこよくて、私も前を向いて頑張ろうと思わせてくれました。
  読んだ人に爽やかな風を吹き込んでくれるようなこの本に、
  今、出会えてよかったです。(高1)

  読書が苦手な私が、
  一気読みをしてしまいました。
  それくらい、
  この小説を読めば読むほど続きが気になり、
  どんどん世界に引き込まれていきました。
  高校2年生でこの小説に出会えて良かった。
  書いてくれてありがとう、
  それが読み終えた今、
  私が一番思うことです。(高2)

  自分を少し変えられそうな気がしてワクワクした。
  自分と違う種類の人と関わるのは、
  新しい自分を見つけるみたいで、
  素敵なことだと思う。(高3)

早速、
買って読もうと思いました。
思いましたが、
書庫の本棚を見て愕然としました。
読み終えた棚に既にありました。
しかも赤のボールペンで傍線まで引いてありました。

傍線をたどりながら、
記憶が蘇(よみがえ)ってきました。
でも、
その時は、
同世代の女子高生が抱くような思いと違う物思いをしていたので、
あのときの本と、この本が、うまく結びつかなかったのです。

彼女たちは内側からこの本を読み、
「自分たちの世界」として読んだのに、
私は外側からこの本を読み、
「高校生の物語」として読んでいたのです。