昨夜、
夜更けに読み終えた小説。
倉阪鬼一郎『かえり花~お江戸甘味処 谷中はつねや~』(幻冬舎時代小説文庫)
はつねや

「和気」という語が何度も出てきます。
  はつねやに和気が満ちた。
  その言葉を聞いて、はつねやにまた和気が漂った。
  ここではつねやに漂っていた和気はだしぬけに陰った。
  はつねやにまた和気がよみがえった。
  一斎がそう言ったから、はつねやに和気が満ちた。
  おなみがそう言ったから、はつねやに和気が漂った。

昨夜読んだ後半だけでも、
こんなにあります。

「広辞苑」第七班で「和気」を探しました。
  わき【和気】1.のどかな気候。あたたかい陽気。
        2.なごやかな気色。むつまじい気分

「和気藹々(わきあいあい)」というように熟語で使うことはあっても、
単独で「和気」と言う語を見たのはおそらく初めてです。

この小説、
全編通じて、
そんな気色、そんな気分、そんな空気の漂う小説でした。