胡蝶蘭を書斎に入れて、
大事に大事に世話をしていたら、
花芽がつきました。

蘭

見ているだけで、
やさしい気持ちになります。

やさしい気持ちになったら、
昨夜の時代小説を思い出しました。
倉阪鬼一郎『人情料理わん屋~きずな水~』(実業之に日本社)

本

少しずつ言葉が出だした赤ちゃんと、
その両親の会話。
  「こうやって力を入れてこねてるうちに、こしが出てくるんだ」
  樽の上にちょこんと座って見物している円造に向かって、
  真造は言った。
  「こしって、なあに?」
  円造がたずねた。
  「食べごたえのことよ」
  お守りをしていたおみねが答えた。

  ほどんく、奥からとことこと円造が出てきた。
  昼寝をしていたのだが、目が覚めたらしい。
  「よし、うどんをやわらかくゆでてきてやろう」
  真造は箸を置いた。
  「食べる?」
  おみねが訊く。
  「うどん?」
  円造は訊き返した。
  「そう。おとうがやわわかくしてくれるって」

  「おうまさん、ぽくぽく」
  円造はすっかり上機嫌になった。
  「そうね。ぽくぽく歩いてるわね」
  おみねは笑顔で言った。

子どもが小さいとき、
よくこういう会話をしたなあと思います。
こういうやさしい会話を・・・。