【やさしい心】2020・12・22
2020年12月22日
胡蝶蘭を書斎に入れて、
大事に大事に世話をしていたら、
花芽がつきました。
見ているだけで、
やさしい気持ちになります。
やさしい気持ちになったら、
昨夜の時代小説を思い出しました。
倉阪鬼一郎『人情料理わん屋~きずな水~』(実業之に日本社)
少しずつ言葉が出だした赤ちゃんと、
その両親の会話。
「こうやって力を入れてこねてるうちに、こしが出てくるんだ」
樽の上にちょこんと座って見物している円造に向かって、
真造は言った。
「こしって、なあに?」
円造がたずねた。
「食べごたえのことよ」
お守りをしていたおみねが答えた。
ほどんく、奥からとことこと円造が出てきた。
昼寝をしていたのだが、目が覚めたらしい。
「よし、うどんをやわらかくゆでてきてやろう」
真造は箸を置いた。
「食べる?」
おみねが訊く。
「うどん?」
円造は訊き返した。
「そう。おとうがやわわかくしてくれるって」
「おうまさん、ぽくぽく」
円造はすっかり上機嫌になった。
「そうね。ぽくぽく歩いてるわね」
おみねは笑顔で言った。
子どもが小さいとき、
よくこういう会話をしたなあと思います。
こういうやさしい会話を・・・。