クリスマスの朝に、
「妊娠40週目」の独身の「妊婦」が、
聖母マリアに語りかける小説を読みました。
八木詠美「空芯手帳」(「太宰治賞2020」筑摩書房)
空芯
  マリア、
  改めてマリアさん、
  つくづく思うけど本当にえらいよ、あなた。
  きっとすごく不安だっただろうね、
  大工の夫と馬しかいない出産で。
  そのあとも来るのは天使とか賢者とかで、
  本当は産婦人科とか看護師さんに来てほしかったよね。
  当時はそんな人がいたのかわらないけど、
  12月なんて寒かっただろうし、
  いやパレスチナの気候だからどうだったんだろう、
  暑かったのかな。
  相変わらずいろいろわかっていなくてごめんね。

今朝、
一人で子どもを産まなくてはならない女性たちと、
そうした女性を支えるNPO法人のことが、
NHKテレビで放映されていました。
それでよけいに、
「空芯手帳」のこの一節が心に刻まれました。